窓の外は春の柔らかな光に包まれていますが、私の心の中は、なんとも言えないソワソワした緊張感でいっぱいです。
昨年6月、末っ子の次男が生まれるのに合わせて始まった、夫の育児休暇。約10ヶ月という、わが家の歴史の中でも最も濃密だった時間が、いよいよあと4日で終わりを迎えようとしています。
5人の子どもを育てる私たちにとって、この期間は単なる「お休み」ではありませんでした。第一子が生まれたときから、夫はいつだって私と同じ歩幅で走り、心身ともに支え続けてくれました。その揺るぎない土台があったからこそ、この10ヶ月はお互いに一息つく時間を作りながら、より深く家事や育児に向き合えた「かけがえのない時間」になったのだと感じています。
目次
「夫が家にいる」からこそ見えた、育児のリアル
5人目にして初めて経験した、夫の長期育休。実際に二人で毎日家庭を回してみて、改めて「夫がいてくれて本当によかった」と感じたポイントが3つあります。
① 「孤独な一瞬」がなくなった
これまで4人の産後を経験してきましたが、今回一番違ったのは「一人で抱えなくていい」という安心感です。夜泣きで思考が止まりそうになったり、母乳のトラブルで心が折れそうになったりしたとき。すぐ隣に夫がいてくれるだけで、どれほど救われたかわかりません。交代で眠ることで、お互いに体力の限界を超えずに済んだのは、5人の育児を続けるうえで大きな救いでした。
② 5人の子どもたち、それぞれの時間を守れた
子どもが5人もいると、誰かが熱を出したり怪我をしたりするのは日常茶飯事です。これまでは、夫婦のどちらか一方が仕事を休んで対応してきましたが、今回は二人とも仕事がお休み。だからこそ、体調不良の子のケアだけでなく、残された子どもたちの生活を止めることなく回すことができました。 「お父さんが病院へ連れて行く間、私が自宅で他の子の面倒を見る」 このスムーズな連携があったからこそ、新しい家族(次男)を迎え入れた不安定な時期も、家族みんなが大きな混乱なく過ごせたのだと思います。
③ 夫の視点が教えてくれた「家族の幸せ」
仕事でも家事でも、常に私より高い視点で物事を見ている夫。要領が悪く、ついつい目の前の大変さから逃げたくなる私にとって、夫と一緒に過ごす時間は大きな「学び」でもありました。 「どうしたら、もっとこの家族が幸せに過ごせるか」 時には厳しい指摘に耳が痛くなることもありましたが、それは私自身の甘さと向き合い、生き方を見つめ直す大切な時間でした。衝突もありましたが、それを乗り越えるたびに夫への信頼はより強くなったと感じています。
2. 「安定」を手放し、一歩踏み出すことの重み
今回の夫の復職において、これまでと決定的に違うことがあります。それは、私自身がすでに「会社員」ではない、ということです。
昨年4月に15年間勤めた会社を退職したとき、自分なりに覚悟を決めたつもりでした。けれど、いざ夫が復職し、本当の意味で「組織の後ろ盾」がない状態で独り立ちするとなると、やはり夜中にふと足がすくむこともあります。 「5人の子どもを抱えて、本当に一人で戦っていけるのかな?」 ふとした瞬間に顔を出す経済的な不安は、想像以上にずっしりと重く感じられます。それでも、私がこの道を選んだのには、どうしても譲れない理由がありました。
3. 「ごめんなさい」と言わなくていい毎日
会社員時代、私の胸の奥にはいつも「小さなトゲ」が刺さっていました。それは、子どもに何かあるたびに感じていた罪悪感です。 急な発熱で保育園から電話がかかってくる。「すみません」と何度も頭を下げながら職場を後にする。仕事への責任感と、「そばにいてあげたい」という本音の間で、いつも心を引き裂かれる思いをしてきました。
個人事業主になった今、その罪悪感からはようやく解放されました。
- 子どもの体調に合わせて、自分のスケジュールを調整する
- 学校の行事には、誰に気兼ねすることなく全力で参加する
- 「本当はこうしてあげたかった」を、自分の判断で選ぶ
この「自分の責任で選べる自由」こそが、不安定な毎日を前に進むための、私にとっての大きな支えになっています。
4. 11ヶ月目、それぞれの場所へ
あと4日。水曜日。夫は再びスーツに身を包み、組織の最前線へと戻っていきます。10ヶ月のブランクを経て社会に戻る彼もまた、言葉には出さない大きなプレッシャーと向き合っているはずです。
物理的に隣で並走する時間は終わります。夫からすれば、私はまだまだ頼りなく、心配な存在かもしれません。でも、この10ヶ月で共有した「育児のリアル」や、彼が背中で見せてくれた「物事に向き合う姿勢」は、しっかりと私の中に刻まれています。
「私一人で、家も仕事も回せるかな」 そんな震えは、きっと新しい自分へと変わるための準備運動。 これからは、外で頑張る夫に余計な心配をかけないように。そして、いつか信頼してもらえるように。5児の母として、そして一人の個人事業主として、ふさわしい自分になれるよう一歩ずつ積み上げていきたいと思います。
10ヶ月間、一緒に走ってくれて本当にありがとう。水曜日からは、外で頑張るあなたの背中を、私たちが全力で応援するね!
少しずつ、私らしい物語を紡いでいけますように。